ども。鉄王です。

(このエントリー、2008年5月上旬に書いたままドラフト状態で放置してました。公開するタイミングをすっかり逸してしまってたんですが、船場吉兆の廃業発表というフックが現われたので公開する次第です。以下本文)

先日、人間ドックに行ってきました。待合いの時間、テレビでは『スーパーモーニング』(ANB系)が「幻の魚」といわれるクエの偽装問題を報じていまして、やいのやいの言ってたんですね。

で、思ったんですよ。こんなことを。

分不相応なものを食うときには覚悟せよ

と。

クエなんてな「幻の魚」と言われるだけあって(私も食べたことない)数もそうそう捕れないし、いきおい価格だって高い。番組では、テレビ通販で流通しているクエの切り身について切り込んでいましたが、そもそもそんな流通チャネルで十分に流量が確保できるような商材ではない。常識的に考えて。

何か、裏があるに違いない、と考えないといけない。

で、案の定です。

クエとして流通している魚をDNA鑑定(!)してみたら、アブラボウズというまったく違う、目(もく)すら違う魚だということが分かった。ありていにいえば、偽装です。偽装はいけません。

でもね。

生活者にまったく非がないのかというと、100%そうともいえないんじゃないか?というのが私の考えなんです。「偽装!」って糾弾するのは簡単だけど、それでこの問題は本質的に解決するのか?と。

たとえばクエです。

「幻の魚」です。そういったものを口にできていたのは、ごく限られた属性の人たちだったはずです。地元の人だとか、食に対して必要十分にお金を費やせる人だとか。「幻」というくらいだから値段もそれなりに張っていたことでしょう。「1円でも安く!」(しかもそのくせ衝動買い)と目を皿のようにして通販番組を見ているような属性の生活者が食べるべき食材ではないんです。本来。

そういった属性にいながら幻の魚を食べようとしている時点で、もうすでに分不相応。

なのに、通販番組を見てると、なぜか「自分でも手の届きそうな価格」にクエが降りてきてしまっている。ここで「クサい」と考えるべきなんです。分相応でないはずの食材が、向こうから「いかがですか?」とやってきているんだから。ハナっから疑念100%とはいわないまでも、せめてブラックボックスの中身に対する想像力くらいは働かせた方がいい。

ブラックボックスの向こう側に自分を預けるには、それなりの覚悟がいるものなんです。そもそも、一度たりとも関わりをもったことがない通販業者から物を買うなんて、実にリスクを伴った行動だと思いませんか。知らないんですよ。相手のことなんて一切。相手の素性をググって調べるしたたかさくらい、あってもいい。

偽装を糾弾することも結構ですが、生活者もまた襟を正す時期に来ているんではないでしょうか。「安心と安全」の担保を〈自分以外の誰か〉に過剰に委ねる行動様式からの脱却をはかるべきだと思います。

なお、誤解のないように申し上げておきますと。

私は何も「貧乏人は麦を食え」(©池田勇人)的な主張をしているわけではありませんので、あしからずご了承のほど。言葉は悪いですが、貧乏人だって米を食ってもいいんです。ただ、貧乏人にも手が届くような米って本当の米?と想像力を働かせること、リスクを織り込んでベネフィットを享受する行動様式が必要だと考えるのです。